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E2EOによるネットワーク管理について

 こんにちは。ソリューション技術部の中丸(孝)です。私が所属する次世代インフラ基盤チームでは、仮想化基盤技術、データ分析基盤技術、インフラ自動化の3つ技術を軸に推進しています。
 サービスを提供するために必要となるインフラ、ネットワークは年々複雑化しており管理業務の効率化が求められています。今回はサービスの視点でネットワークを管理するための考え方として注目されているE2EO(End-to-End-Orchestration:以下E2EO)の概念についてお話したいと思います。

E2EOとは

 多くの場合インフラ、ネットワークは単一のサービスではなく複数のサービスで利用される事を想定して効率の良い構成を前提にして構築されています。
 複数のサービスが稼働しているインフラの場合、特定の機器や径路で障害が発生してもすべてのサービスに影響が出るとは限りません。故障箇所がサービスに及ぼす影響範囲を把握する事は非常に困難です。そこでサービス基板(ネットワーク)をサービス単位で管理する仕組みとして、E2EOが注目されています。

なぜE2EOが必要とされるのか

 なぜE2EOが必要とされるかについて触れてみたいと思います。
 とあるサービス提供事業者が複数のサービスを提供しているとします。複数のサービスはサービス提供基盤(インフラ、ネットワーク)で構成されますがほぼ同一の機器、ネットワークで構成されるため物理的な構成とサービスで利用される論理的な構成はわかり易く整理されていないものです。
 そのため障害が発生した場合、障害箇所が特定できてもどの程度のサービス影響がでているのかがすぐに把握できません。障害が発生したとしてもサービスにまったく影響が出ないこともありえますし、そういうことであれば即時対応する必要も無いわけです。
 このようなサービス提供事業者にとって運用上の課題を解消する仕組みがE2EOなのです。

E2EOの構成要素

 E2EOは、サービス視点でネットワークを管理するSA(Service Assurance:サービスアシュアランス:以下SA)とサービスに関わるネットワークのオーケストレーションをコントロールする機能であるオーケストレーター(Orchestrator)から構成されます。SAとオーケストレーターは共通化された構成情報であるカタログを参照して連係します。
 SAは、各ネットワーク機器からの情報を収集し、サービスの状態を監視・管理して障害発生時にサービスとしてどのような影響がありどこに原因があるのか特定するための機能や、サービスが正常に提供されているのかを監査する機能、ネットワークの状態を解析する為の機能、ネットワークの状態からどのような影響が対応が必要となるのかを判断する機能があります。
 オーケストレーターはSAの判断結果を用いて各ネットワーク機器にオーケストレーション指示を行います。機能毎に存在しているオーケストレーターはSAからの指示に従い適切な昨日の構築、再構築を実施してその結果をSAに戻します。
 この動作(Closed-Loopと言います)を繰り返すことで、自律したネットワークを実現します。

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SAとオーケストレーター

E2EOの要のデータ分析技術

 E2EOの制御をつかさどるSAでは、ネットワークを構成する機器から大量で多種多様な情報を収集して分析を行い、様々な判断を下し、ネットワークの可視化と制御のための判断を行います。
 これはマーケティング等で行なわれるビッグデータを使ったデータ分析と基本的な仕組みは同じもので、大量で多種多様な情報を収集・整理・分析するデータ分析技術を使用しています。
 データ分析技術の詳細については今回は触れませんが、データ分析を行う仕組みを構成するOSS(オープンソースソフトウェア)も充実してきており今日ではさまざまな分野でデータ分析技術が活用されるとともに、E2EOを実現するうえで要の技術となっています。

まとめ

 E2EOは、サービス基盤を維持・管理していく上でとても有益な仕組みですが、まだ確立されていない発展途上の仕組みでもあり、実現に向けた検討が進んでいるところです。
 近い将来、ネットワークの維持管理に関わる人の役割も変わっていき、業務の効率化が進んでいくことで働き方も変わっていくことでしょう。E2EOは、サービスの安定供給と品質向上に貢献できる素晴らしい仕組みなのだと思っています。