こんにちは、営業部の鈴木です。
2023年より新たにフォージビジョンで事業展開を開始した「画像認識事業」について、本ブログでも少しずつ紹介しております。
今回は、弊社独自の画像認識アルゴリズムのABHBとAIの違いについて紹介していきたいと思います。
vol.1の画像認識とは「活用例や未来のユースケースは?」 techblog.forgevision.com
vol.2の<ABHB> 前編「ABHBとはどんなもの?特徴や強みは?」 techblog.forgevision.com
vol.3の<ABHB>後編「ABHBの活用例や難しかった取り組みは?」 techblog.forgevision.com
に続いて、
フォージビジョン画像解析技術最高責任者の安藤さんに、インタビューしてみました!
画像解析最高責任者 安藤 尚隆 経歴
ソニー株式会社にて初代ハイビジョンの研究開発に携わり、撮像から画面表示までの各種映像技術と人間の視覚の仕組みについての知識を得る。
株式会社ゼータ・ブリッジを設立し、様々な認識技術を活用した多数のビジネスを展開する中で独自の画像解析アルゴリズム ABHB(Algorithm Based on Human Brain)を開発。
現在はフォージビジョンにて、画像解析最高技術責任者として活動中。
🎤なぜAIでうまくいかない解析が、ABHBでは解析可能なのでしょうか?
最初に、AIで上手くいかないテーマがABHBですべて可能とは言い切れません。
AIでは、基本的にPCで学習したデータ(教師データ)を元に結果をアウトプットしますので、最初にある程度の画像データを準備する必要があります。
さらに結果の向上を求める場合には、大量のデータが必要になる場合もあります。この学習工程がうまくいけば良いですが、うまくいかない場合は、これが果てしなく続きます。。
さらに、解析ロジックがブラックボックスでなぜうまくいかないのか分からず、諦めてしまうケースもあると聞いたことがあります。
ABHBは、教師データは不要で、検査員の方が判定している内容に応じて解析プログラムを構築していきます。最初は上手くいかないケースもありますが、検証を進めながら お客様とともに 精度向上を目指します。
解析ロジックはルールベースですので、結果がブラックボックスになることはありません。
安心・安全を重視する企業さまにとっては、結果が明らかな(説明できる)こともシステムを導入判断の大きなポイントとなりますので、そういった面では選んでいただきやすいのかなと。
限定された学習データでPCが学習するよりも、人間が長年学習し続けている脳での学習データ(無意識)を意識化したアルゴリズムを活用した方が良いケースが、まだまだあると思っています。
🎤ABHBの優れている点、不得意な点を教えて下さい。
優れている点は、学習工程が不要のため多品種少量生産などに有利なことや、食品などの不定形物にも対応可能なことですかね。
良不良の閾値設定もある程度柔軟にできます。
私自身が電機メーカーでテレビを開発していたこともあり、色の解析は得意分野です。
不得意な点は、不良項目の追加や全く異なる認識物の追加時にアルゴリズムやパラメータの調整が都度必要なことです。
🎤では逆に、AIやディープラーニングが優れている点、不得意な点はいかがでしょうか?
優れている点は、学習データが豊富にある対象物(人や車、食品、動物、植物など)の認識でしょうか。
これからますます精度が上がっていくと思います。
不得意な点は、外観検査で欠陥種の見え方が多彩に変わるものの検出でしょうか。
学習後の微調整が難しく(微調整の際は再度学習させる必要があり)終わりなきループにハマっていくケースも少なくないかと。
🎤これまでのお話を聞いて、ABHBとAIでは前準備が大きく異なるように思います。実際の作業量にはどのような違いがあるのでしょうか?
ABHBはAIで必要な学習の為のアノテーションデータ作成等の学習工程が不要ですが、所有している数十種の基本アルゴリズムの組み合わせとパラメータ調整で開発する、という工程が必要です。
どのような対象物をどのように検出したいかによっては、開発にかかる時間も異なりますのでなんとも言えませんが、以前全く同じお客さまの課題に関する検証を、ABHBとディープラーニングを活用したAIと2つで行ったことがあります。
その時は、ABHBの方が、検証結果をアウトプットするまでの期間が早く、精度も高かった、という実績はあります。
🎤いまさらですが、教師データなしでどうやって開発するのでしょうか…?
ABHBはルールベースのため、コンピュータに学習させるための「教師データ」は不要といっているだけで、解析プログラムを構築時するためには、画像データは必要です。
基礎的なルールを作りや判断のために必要な画像数としては、正常時の画像1枚、不良種類ごとに2~3枚程度あれば十分ですが、現状の検査をどのように行っているかという情報も合わせて提供いただくことが大変重要です。
実運用に向けては、N増し検証などを行い、検出精度を確認しながら高めて行くケースが多いので、そのタイミングではたくさんの画像データが合ったほうが良いですが、あくまでも検証用に必要なデータで、コンピュータに学習させるための教師データが大量に必要なことはありません。
おわりに
安藤さん、ご回答ありがとうございました!
今回は「独自開発の画像認識アルゴリズムABHBとAIの違い 編」として、それぞれの得意・不得意や前準備の違いについてインタビューしてみました。
ABHBとAI、それぞれの強みを生かして、合ったものを選択してみる。というのが良さそうですね!
今後もインタビューシリーズを更新していく予定ですので、ご不明点やご質問等ございましたらいつでもお問い合わせください!