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AWS Summit Tokyo 2019 re:Cap さよなら、銀行。~住信SBIネット銀行の挑戦~

AWS Summit Tokyo 2019 の セルフ re:Cap シリーズです。

今日は、インダストリーバーティカルセッション をご紹介いたします。

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[K1-02] さよなら、銀行。住信SBIネット銀行の挑戦

セッション詳細

  • セッション番号:[K1-02]
    開催日時:2019/06/12 13:00-13:40
    タイトル:さよなら、銀行。 ~住信SBIネット銀行の挑戦~
    会場:K
    カテゴリー:インダストリーバーティカルセッション(業種別)
    スピーカー:住信SBIネット銀行株式会社様

業種別セッションに関しては、予約のときからホームページなど事前リサーチをしながら慎重に選択しておりましたが、以下コンセプトサイトやデザインされたHIKARINA様のサイトを拝見して、Day1 では特に気になっていたセッションでした。

www.netbk.co.jp

hikarina.co.jp

K会場は遠かった...。 

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国際会議場

「さよなら、銀行。~」のセッションは K会場で開催されました。AWS Summit Tokyo 2019 は、大部分のセッションが幕張メッセの HALL 1~3 で開催されたのですが、K会場だけ国際会議場という離れた会場で開催されており、会場の把握ができていなかったため行きつくまでに15分以上を消費してしまいました。
そのため、補足情報を引用させて頂きながらまとめていきます。 

 住信SBIネット銀行株式会社様について

住信SBIネット銀行株式会社様は、SBIホールディングス様と三井住友信託銀行様の合弁により2007年に開業されたインターネット専業銀行です。

2000年代は、「株式会社ジャパンネット銀行(2000年開業)」であったり、KDDI様と三菱UFJ銀行様が共同出資された「じぶん銀行(2004年開業)」であったりと、インターネット専用銀行が数多く生まれた印象があります。

オンプレミスからクラウドへの移行

  • 2007年は全てのサーバがオンプレミスだった。全国4ヵ所に分散していた
  • 2012年に EOLに合わせてリプレース部分をVM化し集約した
  • 2017年~2020年 基盤更改として、Xeon系は AWS へ。Microsoft のシステムは Azure へ移行を進めている

現行のシステムを破壊して一気にクラウドに移行するのではなく、製品のリプレースに合わせて計画的に段階的にクラウドへ移行されていたようです。スライドでは、2020年までのロードマップを拝見できたので非常に臨場感がありました。 

AWS クラウドで採用した主なサービス

  • Amazon Aurora PostgreSQL
    コスト削減と性能向上を実現
  • Amazon API Gateway + Lambda
    PDを返すAPIを提供するために利用。自社内だけでなく他社にも提供
  • Amazon Connect
    自動応用とSaaS サービス(Salesforce)との連携を強化

銀行は情報漏洩への配慮やリスク軽減から汎用機や閉鎖的なシステムを採用する先入観があったのですが、APIを社外に解放しているという点が非常に驚き印象に残りました。しかも、今から3年以上も前に実施されていたとのこと。Finbee とのAPI連携を解説されていました。国内初の更新系APIの提供開始だったそうです。

業界の常識を切り崩すには大変な努力があったに違いありません。  

 Amazon API Gateway を利用したAPI

住宅ローンのPD値をレスポンスするAPIを紹介されていました。サーバレスアプリケーションでの実装でした。

PD(Probability of Default)
債務者が将来の一定期間においてデフォルトする可能性を確率で示した値。一般に債務者格付けの格付区分ごとに推計する。

内部格付制度と信用リスク軽量化 
日本銀行金融機構局 金融高度化センター

デフォルト
貸出先から返済が滞り債務不履行状態に陥ること

デフォルト率 | Riskpedia(信用リスク用語集) 

 ブロックチェーン技術の活用

ブロックチェーン技術を業界に先駆けて実装され、負荷耐性、改ざん耐性、費用対効果の実証をされたとのことでした。

ブロックチェーン(分散台帳)技術
「ブロック」と呼ばれるデータの単位を生成し、鎖(チェーン)のように連結していくことによりデータを保管するデータベース。各々のブロックは、その一つ前のブロックのハッシュ値を保持し、ハッシュ値をさかのぼってたどることでデータの改ざんを防ぐことができる。

ウィキペディア(Wikipedia)より
ブロックチェーン - Wikipedia 

なぜ AWS クラウドを採用したのか?

  • Fintech に代表される外部環境変化に素早く対応する必要がある
  • 銀行は本業に専念するべき
  • AWS は基盤を任せられる信頼性と高セキュリティがある
  • 業界トップシェアというブランド力
  • 今後もトップを走り続けてもらわなくては困る

AWS に対する信頼と期待を感じるスピーチに、会場の空気が引き締まったように私は感じましたが、直後のスライドで銀行が無くなったビフォアフター写真で

「銀行が街から無くなれば本来の美しい街の景色が蘇る」

と自虐的なスピーチを展開され、住信ネット銀行のQRコードを映して

「会場は写真撮影禁止ですが、ここだけは写真撮影して是非登録をお願いします。」

と会場の空気を和ませていらっしゃいました。本当に素晴らしいスピーチでした。

以上、AWS Summit Tokyo 2019 re:Cap さよなら、銀行。 ~住信SBIネット銀行の挑戦~ でした。最後にこちらを re:Cap する際に参考にさせていただいた資料をご紹介致します。

最後までお読み下さり、ありがとうございました。

資料

昨年の資料です。

AWS Summit Tokyo 2018 - お客様事例セッション資料/動画
【住信SBIネット銀行様ご登壇事例】テクノロジードリブンで新たな価値の創造を目指す - 住信SBIネット銀行の挑戦

動画:

www.youtube.com

資料:https://d1.awsstatic.com/events/jp/2018/summit/tokyo/customer/02.pdf