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【AWS 利用料金改定】パブリック IPv4 アドレスの有償化について

こんにちは。フォージビジョンの藤川と申します。

2023 年 7 月 28 日 に AWS ブログにて、パブリック IPv4 アドレスの利用料金に改定が発表されました。
「2024 年 2 月1 日以降、全てのパブリック IPv4 アドレスの利用について 0.005 ドル/時の費用が発生する」というものです。

aws.amazon.com

これまで AWS 試験で幾度となく、コスト最適化の問題では、「Elastic IP アドレスが実行中のインスタンスに関連付けられていない場合や、停止しているインスタンスやアタッチされていないネットワークインターフェイスに関連付けられている場合は、時間毎に小額の料金が請求されるため、利用していない Elastic IP アドレスを解放しましょう。」と答えてきましたが、2024 年 2 月 1 日以降は回答が変わってしまうことに少し寂しさを感じます。本記事では、パブリック IPv4 アドレスの利用料金改定の内容についてお伝えしたいと思います。

発表内容の深堀り

パブリック IPv4 アドレス利用料金の改定内容について

2024 年 2 月1 日以降、サービスに接続されているかどうかに関係なく、すべてのパブリック IPv4 アドレスに対して、IP あたり 0.005 USD/時間(およそ 3.6 ドル/月)の料金が発生します。
日本円に換算しますと、2023 年 8 月 4 日時点の為替レートは、1 USD あたり 142.66 円となっておりますので、IP あたりおよそ 513 円/月の費用が発生することとなります。

(引用元:https://aws.amazon.com/jp/blogs/aws/new-aws-public-ipv4-address-charge-public-ip-insights/

  • 自動割り当てされたパブリック IP については、「インスタンスのパブリック IP アドレスが停止、休止または終了すると、インスタンスのパブリック IP アドレスがリリースされ、停止または休止状態のインスタンスは、起動時に、新しいパブリック IP アドレスを受け取る」という仕様となっているため、インスタンスのパブリック IP アドレスが停止、休止または終了中は、利用料金は発生しません。
  • お客様が所有し、Amazon BYOIPを使用して AWS に持ち込んだ IP アドレスについては料金は発生しません。

なぜ、パブリック IPv4 アドレス利用料金の改定に踏み切ったのか

AWS ブログ上では、以下のように記載されています。

ご存知のとおり、IPv4 アドレスはますます希少なリソースとなっており、単一のパブリック IPv4 アドレスを取得するコストは、過去 5 年間で 300% 以上上昇しています。この変更は、私たち自身のコストを反映するものであり、パブリック IPv4 アドレスの使用をもう少し倹約し、最新化と保護の手段として IPv6 の導入を加速することを検討することを奨励することも目的としています。

IPv4 アドレスの枯渇問題について

IPv4 アドレスの在庫枯渇に関しては、JPNIC(日本国内においてIPアドレスやAS番号といったインターネットにおける番号資源の管理を行うための団体)により、以下のように発表されています。

2011 年 2 月 3 日、 インターネット上で利用されるアドレス資源をグローバルに管理する IANA (Internet Assigned Numbers Authority) において新規に割り振りできる IPv4 ドレス が無くなりました。 続いて 2011 年 4 月 15 日には、 アジア太平洋地域の RIR (地域インターネットレジストリ)である APNIC においても、通常の申請により割り振り可能である IPv4 アドレスの在庫がなくなり、アジア太平洋地域は、いわゆる「 IPv4 アドレス在庫枯渇」の 状態となりました。
(引用元:IPv4アドレスの在庫枯渇に関して - JPNIC

分配済みの IPv4 アドレスについて効率的な利用をさらに進める、NAT 技術を利用しグローバルアドレスを使わずに新たなホストを収容するなどの延命処置が講じられておりますが、恒久的な対策ではありません。

IPv6 への移行は難しいのか

パブリック IPv4 アドレス利用料金の改定の経緯に「IPv6 の導入を加速することを検討することを奨励することも目的としている」とありますが、なぜ、 IPv6 への移行は進まないのでしょうか。

IPv6 の利用率

総務省の発表によると、2022 年 3 月 12 日時点で世界全体での IPv6 普及率は約 35%、日本の普及率は約 45.27% であり、世界全体で最も IPv6 普及率が高いのは、インドで約 65% とのことです。国レベルや Apple などの働きかけもあり、少しずつ普及しつつありますが、まだまだ普及率は低いという印象です。

(引用元:https://www.soumu.go.jp/main_content/000813319.pdf

IPv6 への移行が進まない理由

IPv6 の導入には、いくつかの注意点が存在します。

  • IPv4 と IPv6 のアドレス形式には互換性がありません。このため、IPv4 で設定された機器と IPv6 で設定された機器は、そのままでは相互に通信することができません。(例えば、自社のネットワークや社外向けに公開している WEB サイトを IPv6 に切り替えたとしても、その WEB サイトにアクセスしにくるユーザーが IPv4 を利用していた場合、そのままでは WEB サイトは閲覧出来ません。)
  • IPv6 対応の設備(機器やネットワーク等)、プロバイダー契約を実施する必要があります。 また、自社環境だけではなく、インターネット経由でアクセスする先の WEB サイトなども IPv6 対応でなければいけません。

送信元だけではなく、送信先についても、IPv6 に対応しなくてはならないとなると、IPv6 への移行が進まない理由に納得がいきます。

ご利用中のパブリック IPv4 アドレスの整理

現在、利用しているパブリック IPv4 アドレスの確認方法

パブリック IPv4 アドレスに新しい料金を導入の発表とともに、「パブリック IPv4 インサイト」というサービスがリリースされました。こちらを確認することで、現在利用しているパブリック IPv4 アドレスの状況を確認することができます。 AWSマネジメントコンソール > Amazon VPC IP Address Manager コンソール > パブリック IPv4 インサイトより、ご確認いただけます。

EC2 の「パブリック IP の自動割り当て」について

パブリック IP の自動割り当ての挙動

パブリック IP の自動割り当ての場合、AWS 公式サイト(Amazon EC2 インスタンスの IP アドレス指定 - Amazon Elastic Compute Cloud)によると、以下のような挙動となります。

インスタンスのパブリック IP アドレスが停止、休止または終了すると、インスタンスのパブリック IP アドレスがリリースされます。停止または休止状態のインスタンスは、起動時に、新しいパブリック IP アドレスを受け取ります。

このため、パブリック IP の自動割り当てよってパブリック IPv4 アドレスを利用しているインスタンスについては、インスタンスの停止、もしくは Elastic IP が付与された際にパブリック IPv4 アドレスがリリースされるため、パブリック IPv4 アドレスの費用は発生しません。

パブリック IP の自動割り当ての設定変更

パブリック IP の自動割り当ての設定(有効化/無効化)は、インスタンス起動時にしかできません。一度、インスタンスを起動してしまうと、パブリック IP の自動割り当ての設定(有効化/無効化)変更はできないため(3.6 ドル/月が垂れ流しになる可能性があるため)注意が必要です。

パブリック IP の自動割り当ての有効化は、プライベートサブネットでも可能です。プライベートサブネットでパブリック IP を使用するケースは稀かと思いますので、注意しましょう。

AWS の IPv6 の対応状況

(引用元:IPv6 をサポートする AWS サービス - Amazon Virtual Private Cloud

最新情報については、AWS 公式サイト(IPv6 をサポートする AWS サービス - Amazon Virtual Private Cloud)をご確認いただければと思います。

デュアルスタックとは、両方のバージョン(IPv4 と IPv6)の IP プロトコルを並行して利用することを指します。このため、デュアルスタックで利用できるサービスは増えてきているものの、IPv6 のシングルスタックで利用できるサービスはまだまだ少ない印象です。

パブリック IPv4 利用の最適化に関するベストプラクティス

以下の AWS ブログで、パブリック IPv4 利用の最適化に関するベストプラクティスが記載されています。

aws.amazon.com

<パブリック IPv4 利用の最適化に関するベストプラクティス>

  • デフォルトサブネットでのパブリック IPv4 アドレスの自動割り当てを無効にすることを検討する。サブネットレベルでパブリック IPv4 アドレスの自動割り当てを無効にできない場合は、インスタンスの起動時にパブリック IP アドレスを自動割り当てを無効にすることを検討する
  • どのリソースをパブリックサブネットにデプロイし、個別のパブリックIPv4アドレスを必要とするかを評価する
  • 踏み台の利用については、各リソースにパブリック IPv4 アドレスを割り当てる代わりに、Amazon EC2 Instance Connect (EIC) Endpoints の利用を検討する
  • インバウンドのインターネットトラフィックには、Elastic Load Balancers または AWS Global Accelerator の使用を検討する
  • アウトバウンドのインターネットトラフィックの場合、NAT ゲートウェイの使用を検討する

最後に

本記事を作成する過程で、2023 年 6 月 13 日に発表された Amazon EC2 Instance Connect (EIC) Endpoints について、興味を持ちましたので、調べてみたいと思います。