こんにちは、プラットフォームビジネス事業グループ 浜口です。
今回はMigration Toolkit for Virtualization (MTV) について紹介したいと思います。
- 検証の目的
- Migration Toolkit for Virtualization (MTV)とは
- 移行の流れについて
- 前提条件
- 移行概要
- 事前準備
- 移行元プロバイダーの追加
- 移行先プロバイダーの追加
- 移行計画の作成
- 移行計画の実行
- まとめ
検証の目的
Broadcom社によるVMwareの買収に伴うライセンス変更によって、VMwareから他社サービスへの移行を検討する企業が増えているかと思います。
前回は「Azure Migrate」を使ってVMware環境からAzure環境へVMを移行しました。
今回は移行ツール「Migration Toolkit for Virtualization (MTV) 」を使ってVMware環境のVMをOpenShift Virtualizationに移行し、移行の手順や要件などを確認していきたいと思います。
Migration Toolkit for Virtualization (MTV)とは
Migration Toolkit for Virtualization (MTV) は、仮想マシンを VMware vSphere からOpenShift Container Platform で実行されている OpenShift Virtualization に移行するためのツールです。
移行の流れについて
Migration Toolkit for Virtualization (MTV) 機能を使用して、VMware vShpere から OpenShift Virtualizaion へ仮想マシンを移行する流れは以下になります。
No | 項目 | 概要 |
---|---|---|
1 | 移行元プロバイダーの追加 | 移行対象の仮想マシンが動作する製品を選択/設定する。 現在は以下製品から仮想マシンの移行が可能。 ①Vmware vSphere ※今回のターゲット ②Red Hat Virtualization ③OpenStack ④VMware vSphere によって作成された Open Virtual Appliances (OVA) ⑤OpenShift Virtualization |
2 | 移行先プロバイダーの追加 | 移行対象の仮想マシン動作させる製品を選択/設定する。 現在は以下のみ選択/設定可能。 ①OpenShift Virtualization |
3 | 移行計画の作成 | 1 で作成した移行元プロバイダーに基づいて移行計画を作成する。 |
4 | 移行計画の実行 | 作成した移行計画を実行することで、仮想マシンを移行する。 |
前提条件
今回はVMware環境(オンプレ)からインターネットを経由して、Azure上に構築したOpenShift環境で検証しています。
※Migration Toolkit for Virtualization (MTV) での移行では、前提条件として移行元の移行ネットワークにディスク転送に十分なスループット (最低速度は 10 Gbps) を推奨としています。
移行概要
OpenShift Web Console に接続し、以下 MTV の操作を実施します。
①移行元プロバイダー登録
②移行先プロバイダー登録
③移行計画作成
④移行実行
事前準備
事前準備として以下を実施しています。
アカウント追加
以下のアカウントを準備します。vCenter Server にアクセスするアカウント
管理者権限のアカウントを追加します。移行する仮想マシンにアクセスするためのアカウント
今回移行するWindowsサーバーに管理者権限のアカウントを追加します。
VMware vSphere のポート許可設定
以下、OpenShift からのアクセス許可設定を VMware 側に設定します。ポート プロトコル 送信元 送信先 目的 443 TCP OpenShift ノード VMware vCenter VMware プロバイダーインベントリー
ディスク転送の認証443 TCP OpenShift ノード VMware ESXi ホスト ディスク転送の認証 902 TCP OpenShift ノード VMware ESXi ホスト ディスク転送データのコピー 踏み台サーバ作成(NFSサーバー設定)
踏み台サーバーを作成し、NFSサーバーの設定も行います。Single Node OpenShift (SNO)作成(OpenShift Virtualization/MTV Operator インストール)
サーバーに単一ノードのOpenshiftをインストールし、 OpenShift VirtualizationとMTV Operatorをインストールします。
移行元プロバイダーの追加
以下の手順で移行元プロバイダーを追加します。
- Red Hat OpenShift Web コンソールで、[Migration] → [Providers for virtualization] をクリックします。
- [Create Provider] をクリックします。
- [vSphere] をクリックします。
- [Provider Details]の各フィールドを指定して[Create Provider] をクリックします。
追加したプロバイダーがプロバイダーのリストに表示されました。
移行先プロバイダーの追加
移行先プロバイダーについては [Create Provider] から追加することが可能ですが、OpenShift Virtualization をインストールした時点で追加されている「host」のプロバイダーを移行先プロバイダーとして今回は移行を実施します。
移行計画の作成
以下の手順で移行計画を作成します。
- Red Hat OpenShift Web コンソールで、[Plans for virtualization] → [Create Plan] の順にクリックします。
- [Create migration plan] ウィザードが開き、[Select source provider] インターフェイスが表示されます。
- 移行する VM の移行元プロバイダーを選択します。
- [Select virtual machines] インターフェイスが開きます。移行する仮想マシンを選択し、[Next] をクリックします。
- [Create migration plan] ペインが開きます。[Plan name] を入力し、その他編集可能なアイテムに対して必要な変更を加えます。
- [Create migration plan] をクリックします。
移行計画が作成されました。
移行計画の実行
以下の手順で移行計画を実行します。
- Red Hat OpenShift Web コンソールで、[Migration] → [Plans for virtualization] をクリックします。
- 移行計画の横にある [Start] をクリックして移行を開始します。
- 開いた確認ウィンドウで [Start] をクリックします。
[Virtual Machines]の画面で進行状況が表示されます。
実行した移行計画が「Succeeded」になっていることを確認し、コンソールを使って移行VMへの接続を確認できました。
まとめ
今回はMigration Toolkit for Virtualization (MTV)を使ってVMware環境のVMをOpenShift Virtualizationに移行してみました。
OpenShift Web コンソールを使ってプロバイダーの追加、移行計画の作成と実行をシンプルに行うことが出来ました。
今回の移行ではAzure上に構築したOpenShift VirtualizationにVMを移行した為、VMの移行時間は3時間ほどかかってしまいました。実際には同じネットワーク内でオンプレ環境からオンプレ環境への移行かと思いますので移行時間はもっと短い想定です。 更にVMware Virtual Disk Development Kit (VDDK) は必須ではなかったのでVDDKを使わずに移行しましたが、 MTVのドキュメントではVMware vSphere からの仮想ディスクの転送を高速化するため、VDDKの使用を強く推奨していますのでVDDKを使うと移行時間の短縮になるかと思います。