こんにちは。フォージビジョン AWSチームの藤川と申します。
この度、コロナ禍の影響から2019年を最後に開催されていなかったJAWS FESTAが4年ぶりにオフライン開催されるということで、JAWS FESTA 2023 in Kyushuに参加してきました。
私自身、JAWS FESTAに参加させていただくことと共にオフライン開催でのJAWSイベントへの参加が初めてということで、少しの不安と大きな期待を持ちながら参加させていただきました。
本記事では、JAWS FESTA 2023 in Kyushuで学ばせていただいたこと、感じたことを記録として記載させていただければと思います。
概要
本記事では、
- JAWS FESTAとは?
- JAWS FESTA 2023 in Kyushuで学ばせていただいたこと
- JAWS FESTA 2023 in Kyushuに参加して感じたこと
を記載させていただきたいと思います。
1. JAWS FESTAとは?
JAWS FESTA 2023 KYUSHU
JAWS FESTAはJAWS-UGが主催する、AWSに関する様々な知見や技術を共有するイベントです。企業サポーターブースで実際に企業サポーターの皆様と交流することや各種センションを聞くことができます。
1.1 JAWS-UGとは?
主催のJAWS-UGは、
J - Japan
AWS - AWS
U - Users
G - Group
の略称で、AWS (Amazon Web Services) が提供するクラウドコンピューティングを利用する人々の集まり(コミュニティ)です。
以前にご紹介させていただきましたAWS SummitがAWSが主催するイベントなのに対し、JAWS FESTAはAWSを利用する人々のコミュニティが主催するイベントということになります。
1.2 JAWS FESTAの歴史
JAWS FESTAの歴史は以下の通りです。
- 2013/09/28 JAWS FESTA Kansai 2013
- 2014/09/06 JAWS FESTA Tohoku 2014
- 2015/11/03 JAWS FESTA 2015 九州IT産業革命
- 2016/10/22 JAWS FESTA 東海道 2016
- 2017/11/04 JAWS FESTA 中四国 2017
- 2018/11/03 JAWS FESTA 2018 OSAKA
- 2019/11/02 JAWS FESTA 2019 SAPPORO
- 2023/10/07 JAWS FESTA 2023 in Kyushu
2020年〜2022年は、コロナ禍の影響でオフラインでの開催が難しく、実に4年ぶりの開催となりました。(過去のJAWS FESTAの情報は以下をご覧ください。)
1.3 JAWS FESTAとフォージビジョンの関わり
弊社は企業サポーターとして応援させていただいております。私自身も当日はアンバサダーとして、企業サポーターブースに立たさせていただきました。
(弊社のJAWS-UGやJAWS FESTAとの関わりにつきましては、以下の記事をご覧いただければと思います。) techblog.forgevision.com
2. JAWS FESTA 2023 in Kyushuで学ばせていただいたこと
ここでは、私が聞かせていただいたセッションについて、簡単な内容と感想について記載させていただければと思います。
2.1 福岡市のスタートアップ支援について
<登壇者>
福岡市役所 二村 隼人 さん
<内容>
福岡市のご紹介からスタートアップ支援の取り組みについて、聞くことができました。
(1)福岡市は、若く活力がある街である
福岡市の情報を拝見すると、
- 人口増加率 4.9%(都道府県順位 1位)
- 生産年齢人口割合位 66%(都道府県順位 2位)
- 平均年齢 43.1歳(都道府県順位 2位)
となっており、市内には、20以上の大学・短大が存在し、学生の割合に関しても7.1%と都道府県別の順位でも2位となっていることから、政令指定都市の中でも若く活力のある街となっています。また、この度のテーマであるスタートアップというキーワードに注目すると、開業率は5.8%と都道府県別の順位で1位となっています。
上記のデータから、現在の状況、これからの未来の展望についても、若者が多く、そしてただ多いだけではなく、新しいことに挑戦する若者が多い街であることが言えるかと思います。
(2)福岡市が取り組むスタートアップ支援
若者が多く活気があることは、開業率が高い理由の一端かもしれませんが、それだけでは十分ではないのかもしれません。福岡市ではスタートアップ支援のとして、創業前、成長期、事業拡大期と各ステージについて一気通貫で支援できる取り組みを実施しています。
・アジア最大級の創業支援施設 fgn.(Fukuoka growth Next)
2014年まで使用されていた天神のど真ん中あにある福岡市内最古の小学校(旧 大名小学校)を再利用する形でアジア最大級の創業支援施設 fgn.(Fukuoka growth Next)が設立されました。
- 創業期:STARTUP CAFE
創業前後の支援として、創業時の相談に対応してもらえます。具体的には、法人設立時に必要な登記手続きのオンライン化、人材マッチングを無償で対応、雇用に関する相談などを受けることできます。 - 成長期:fgn.(Fukuoka growth Next)
育成・投資プログラムとの連携やコミュニティ形成などにより、スタートアップのステージを引き上げる支援を受けることができます。 - 事業拡大期:Fukuoka D.C.
事業確立やIPOに結びつけるマッチング・規制緩和を促進する環境を形成することができます。
fgn.にあるawabarに行ってきました!!
fgn.内にはコミュニティの場として、日中帯にはコーヒースタンド「Howit Coffee」、夜になると「awabar」があります。カウンター向こうの壁一面には、たくさんの企業のロゴが貼ってありました。小学校の温かみのある雰囲気を活かしつつ、照明や装飾品でオシャレな店内となっている他、クラフトビール等もあり、とても楽しい時間を過ごすことができました。
<感想>
やりたいことや熱意はあっても、そこに至るまでには、やりたいこと以外の開業に関する知識が必要で、真っ直ぐにやりたいことに集中できないという問題は開業率に大きく関わってくる問題かと思います。そこを福岡市がフォローし、さらにスタートアップに関する施設が1箇所に集中して、完結できる仕組みはとても良いと思いました。
また、コミュニティの形成もイベントに参加したりなど、日常的に取り組むのは難しいかと思いますが、日常の一部としてコミュニティを形成できる場がオフラインであることもとても良い環境だと思いました。
2.2 ECSのCI/CD改善と標準化の取り組み
<登壇者>
株式会社はてな cohalz. さん
<内容>
元々のシステムでCDKを書いた人がバラバラであった上に、CI/CDがバラバラで管理が難しい状況であったところから、全サービスを同じ方法でデプロイできるようにすることで管理しやすいシステムにしていった際に採用したサービスや課題、課題に対する対処の内容、また実際にやってみて感じられた「標準化をする上で気を付けること」について聞くことができました。
ここでは、「標準化をする上で気を付けること」について、記載させていただきたいと思います。
・標準化をする上で気を付けること
(1)全チームの要望を解決しようとしない
作るのに時間がかかりメンテナンスもしづらくなってしまうこと、全ての要望を取り入れることで汎用性が上がるメリットあるが、逆に汎用的すぎても標準化という課題解決しづらくなってしまうデメリットが出てきてしまうとのことでした。そのため、ある程度割り切って対応することが大切とのことです。
(2)意思決定やアップデートのプロセスを決める
フィードバックを受けた際に、取り入れるかどうかなどについての意思決定を含め、アップデートのプロセスを先に決めておくことが大切とのことです。
(3)認知度を上げる
作るだけでなくちゃんと使われるようにするのが大事 標準化対応を実施しても、標準化の内容が使われないと意味をなさないため、しっかりと認知度を上げて、使われるようになるまでケアすることが大切とのことです。
定期的に存在をアピールする そもそも標準化の内容を知らないところから始まるということを意識し、定期的に標準化の内容をアピールすることで、認知してもらい、実際に使ってもらえるようにするケアが大切とのことことです。
検証に協力してくれる人を探す 実際に利用してもらってフィードバックをもらえる状態にし、プロトタイプのものからアップデートをかけていくことで、最適化していくことが大切とのことです。
<感想>
標準化を進めていくことも重要ですが、作るだけでなく「実際に使ってもらうところまで継続的にケアしていく」ということがとても大切だと思いました。
2.3 アプリケーションログ、どう出力する? どう調査する?
<登壇者>
フェンリル株式会社 森井 康平 さん
<内容>
基本用語の説明も踏まえながら、アプリケーションログの基本的な取得方法から出力方法までを聞くことができました。
(1)オブザーバビリティを意識する
オブザーバビリティとは、「可観測性は、外部出力の知識からシステムの内部状態がどの程度推測できるかを示す尺度です。」となっています。 オブザーバビリティが低い(=ログ出力からアプリケーションがどのような状態になっているかを判断できない)と問題発生時に時間がかかったり、シニアエンジニアの勘に頼ったりするしかなくなったりと、多くの問題を抱えることとなります。
ただし、すべてのログを出力していると、重要なログを見つけるのに時間がかかってしまいます。このため、ログの重大度を示す「ログレベル」を用いて、どのログレベル以上のログを出力するかを決めておくと良いとのことでした。
(2)非構造化ログから構造化イベントログへ
イベントとは、ある特定のリクエストがそのサービスとやり取りをしている間に発生したすべての記録であり、構造化イベントログとは、簡単に言えば、検索しやすいようにJSON形式にフォーマットされたもののことを指します。
構造化イベントログを考える際には、どの情報を構造化イベントログに追加するかを選定する必要があります。オブザーバビリティを高くする意味では、すべての情報を出力した方が良いかと思いますが、パフォーマンスやセキュリティの観点から考えるとすべての情報を出力することは得策ではありません。このため、システムの内部状態を把握するために必要と考えられる情報に絞り込む必要があるとのことでした。
(3)トレース情報を追加する
各サービスのログを紐づけるためにトレースIDを用います。トレース情報がない場合には、イベント発生時間から推測する形となってしまい、各サービスとの連携部分を調査することが難しくなります。
AWSではALBを用いている場合には、ALBがデフォルトでトレース情報を付与してくれているので、付与されているトレース情報をアプリケーション側でイベントログに追記するようにするだけで良いとのことでした。
(4)調査方法
ログの調査方法として、以下の3つが紹介されていました。
- S3 + Amazon Athena
- Amazon CloudWatch Logs
- Amazon OpenSearch Service
<感想>
問題発生時にどれだけ早く問題箇所を把握できるかについては、顧客満足度に直結するものと考えています。「どれだけ早く」の点については、技術力ももちろんありますが、構築時にどれだけ準備ができているかが、とても重要だと改めて感じました。
3. JAWS FESTA 2023 in Kyushuに参加して感じたこと
コロナ禍でオフラインで交流することが難しくなり、イベントは疎か、それぞれの職場に行くことすらことも難しくなりました。
この課題を乗り越えるべく、オンラインサービスが大きく発達し、物理的な距離を超えて交流することが容易になったことについては、とても良いことだと実感しています。
コロナ禍が落ち着いた昨今でもオンラインでのイベントも数多く存在し、必ずしもオフラインイベントに参加しなければならいといった状況下ではない中で、オフラインイベントであるJAWS FESTA 2023 in Kyushuに参加してみて感じたことは、「心の距離が縮まる速度が段違い」だということでした。
オンラインでも双方向のやり取りはできますし、画面越しで表情を見ながら会話することも飲み会を開くこともできます。それでも、物理的に直接お会いして話すのと、画面越しで話すとでは、全然違うことを体感させていただきました。
JAWS FESTA 2023 in KyushuをきっかけにAWSに関わる方々とたくさん会話させていただき、コミュニティを広げることができたと感じています。会社の垣根を超えて、AWSという共通点を通じて、老若男女問わずに交流できたことはJAWS FESTA 2023 in Kyushuに参加させていただいて本当に良かったと感じています。
この感覚はテレワーク主体の業務を遂行している弊社にとっても、私自身にとっても、とても大切な感覚であり、私自身に対しての財産になったと感じています。
また、何よりもこの度会話をさせていただいたすべての方々とお知り合いになれたことが、何よりの財産だと感じています。
最後に
JAWS FESTA 2023 in Kyushu参加させていただいたこと、JAWS FESTA 2023 in Kyushuを開催していただいたことに本当に感謝しております。次回のJAWS DAYS 2024(オフライン開催)にも、ぜひ参加させていただきたいを思います。
<今回の戦利品たち>
フェンリル株式会社さんのソースは美味しくいただきました。
以上